M∞N night FES!
活動報告
2016年12月23日
M∞N night FES! オフィシャルライブレポート
12/2(金)23時55分。渋谷スターラウンジの前に並ぶ人々。彼らはこれから初めて開催されるM∞N night FES!を体験するため、年末のカウントダウンでもない普通の金曜日の夜遅くに列をなしオープンを待ち望んでいた。赤を基調にした妖艶な雰囲気のする会場は入り口にケバブ店を構え、ライブハウスに入るとたこ焼きアーティストがたこ焼きを販売するという、既に普通じゃないイベントであることを予感させる。これが主催者であるMarlet Mine吉川浩史が語るワクワク感であることは言うまでもない。
日付が変わった0時10分、ホールが暗転し、M∞N night FES!最初の出演者である女性シンガーソングライター、響、のライブが始まる。
アカペラから入るイントロダクションに続き、一曲目の”EVER”で、会場の空気感が神聖なものに変わっていく。透き通った歌声で歌い上げる楽曲で夜の帳が下り、ファンタジーな世界に引き込まれていく。挨拶代わりのMCを挟み、重たいピアノのイントロから二曲目の”ギフト”がはじまる。伸びやかなロングトーンのサビでは、『必要なものは私たちへと既に与えられてる』というメッセージを力強く歌い上げる。僅か二曲ながら爪痕を残しステージを後にした。
2組目に出演するのはイベント主催者の吉川浩史率いるMarlet Mine。
主催者がイベント序盤で出演することは珍しいが、来場者のことを第一に考え、出演者のラインナップに自信を持っているということが表れているようだ。2組目にして良い意味で力みのないステージを見せる。一曲目は自身の代表曲でもある”HIKARI”を演奏し、挨拶を挟み”Heart to Heart”を歌い上げる。
その後吉川はMCでM∞N night FES!に対する熱い想いと、早くも第二弾が来年4月に2会場で開催することを発表し、会場が大きくざわつく。その後Marlet Mineは最後の曲として”Ring Rig”を演奏。説得感のある力強いライブを展開した。『次はリョウさん出るよ!』という吉川のMCの後、3組目として熱きリョウが出演。
自身の代表曲でもある特撮ソング”牙維伝ファイターZ FIRE”のイントロと共に勢いよく入場。『Hello スターラウンジ!熱きリョウ見参!』という挨拶のもと、会場がヒートアップしていく。サビの部分では観客が身振り手振りを合わせて一緒になって盛り上がる。
テンポよくMCに煽られながら2曲目”茨”へ。手拍子がおこる。壮大なイントロと共に3曲目”君の声が聴きたい”を熱唱。ミドルテンポながらキャッチーなメロディーラインに会場で口ずさむオーディエンスも多かった。間奏では得意の肉体パフォーマンスを魅せ、大いに会場を沸かせてステージを後にした。
4組目に登場したのはHIDEKINGこと大久保英紀のソロプロジェクトバンド、HIDEKING project。
距離を詰めるのに時間はいらないとばかりに、1曲目”逝け!!恋心”で一気に会場が一つになる。音圧あるバンドサウンドでさらに会場の温度が上がっていく。Gt.のノブはMCで、自身のエンタメ性が高いライブパフォーマンスに対し熱きリョウの名前を挙げ、『受け入れてくれるか不安だったけど、全然大丈夫だった』と語り笑いを取る。エンタメ性が高く親しみやすい一方、妖艶なパフォーマンスと迫力あるサウンドは彼らの音楽に対する熱い想いと高い実力を裏付けている。
HIDEKINGはMCで、主催であるMarlet Mineの吉川が友人であること、M∞N night FES!はその友人が一生懸命作った大事なイベントであると語る。さらに時間が巻いていたため、急遽曲を増やすことを発表。このように機転がきいた対応は主催者とアーティストの信頼関係がなくては難しい。ファンにとってはもちろんその場にいるオーディエンスにとって嬉しいサプライズがあり、ラスト曲”タイムカプセル”までの計5曲を演奏、HIDEKING projectを堪能できる贅沢な時間になった。
早くも夜中の2時を回った頃、5組目、ギター弾き語りのシンガーソングライター中村慎吾が出演。バンドサウンドとは一転してギター一本で、優しく丁寧かつ正確なリズムで演奏をはじめる。
2曲目の”いいけん”は中村慎吾の地元である熊本の方言で書かれた楽曲。アイデンティティを感じる曲とともに彼のペースでライブは進行していく。中村慎吾はほっこりする歌声で安心感があるが、歌詞の世界観に引き込まれると、不意に意表を突かれたように鋭いメッセージが胸を打つ。
”証”、”Is Here.”と計4曲のオリジナルソングを歌い上げた。
しばしセッティングを挟み、幕が開くと同時に7組目のHITOのステージがはじまった。1曲目、HITOはスタンドマイクでamazarashiのカヴァー”死のうと思ったのは”を歌う。
端正なルックスをもちながらも、説得力のある確かな歌唱力を持つシンガーだと分かる。この日バンド編成での出演となったHITOは、続いてオリジナルナンバー”Your Color”を演奏。
3曲目には、グルーヴィーな演奏と色気ある歌で椎名林檎の代表作”丸の内サディスティック”を歌い、オーディエンスを魅了した。
7組目は女性シンガーのMoMokaが登場。会場の空気がまた大きく変わる。ジャンルに縛られないところがこのイベントの良いところである。それぞれの個性がぶつからず、次々と光り輝き移り変わっていく。MoMokaは、サイリウムを持って勢いよく登場。会場はそれを待ち望んでいたかのように華やかなムードに変わる。
1曲目にポップでエレクトロなサウンドの”キラリ光れ”を歌い上げた。MCでは自身のバンドシュガーパレードのメンバー、Hiroをサポートギターとして迎え、2曲目にオリジナルナンバー”Smile”を演奏。2曲ということもあり、あっという間に時間は流れ、MoMokaは拍手とともにステージを後にした。
8組目、いよいよイベントも終盤に差し掛かったところで松田栄作が登場。会場は待っていたと言わんばかりに大きな拍手で彼を迎える。松田栄作は4人組バンドSissyのボーカルとして、スキマスイッチ常田真太郎プロデュースのもと現在8ヶ月連続シングルリリースの真っ最中。この日も夜中まで常田氏と12月のシングル曲のレコーディングに向けた制作をしてから会場に来たという。Sissyのオリジナルナンバー”旅人”からライブが始まった。
その抜けのいい歌声からは、レコーディングセッションの後とは思えない、疲れを感じさせない底力をみせつける。MCではバンドの話やプロデューサーの常田真太郎氏の話を真剣にしつつも、時折おどけてみえるのは松田がもつ不思議な魅力である。ステージ上から歌っているにもかかわらず、身近に感じることから大きな共感が生まれていく。松田の歌とトークで会場は和やかなムードが広がる。
常田真太郎プロデュースの”ボクらの確率論”、”あいのま”を含めた計4曲のオリジナルソングを歌い上げ、ステージを後にした。松田栄作がボーカルを務めるSissyは、2017年1月14日に西新井文化ホールにてワンマンライブが決定している。
M∞N night FES!のトリを飾るのは本日がソロとしての初ライブとなる光太。光太は沖縄出身の二人組音楽ユニットGOLD RUSHとして2012年にメジャーデビュー。その後2014年に惜しまれつつ解散し、光太はサラリーマンに転向。この日のライブより、再びソロシンガーとして音楽活動を本格再始動するという。光太の覚悟のあらわれか、シリアスな空気がホールを包む中、同郷のアーティストBEGINのカヴァーソング”恋しくて”を熱唱する。
光太の歌は暖かく会場を包み込み、涙ぐむオーディエンスもちらほらと目にした。音楽活動を本格再始動する経緯と覚悟を語った光太は、今とても音楽を楽しめているとし、『これからが本当に楽しみ』と思いを明かした。
3曲目は自身のオリジナルナンバー”サヨナラスタート”を歌い、イベントの最後を飾った。
光太は2017年1月27日に駒沢STRAWBERRY FIELDSにて、解散した自身の音楽ユニットGOLD RUSHのセルフトリビュートライブが決定している。