豆瑠璃羽

活動報告

2022年10月14日

痙攣性発声障害〜甲状軟骨形成術Ⅱ型〜

こんにちは、新人Vtuberの豆瑠璃羽です。

皆様クラウドファンディングにご支援していただき、ありがとうございます。


今回はクラウドファンディングの本文でも書いてある、私の喉の病気である、内転型痙攣性発声障害についてお話しをします。


※※術後実写の写真がありますので閲覧にはご注意ください※※



私は約10年間、


「痙攣性発声障害」


という病気に悩まされています。


痙攣性発声障害は簡単に言うと、声帯が異常な動きをすることによって


自分の意思とは関係なく声が詰まったりかすれたりするものです。


私たちは日常生活で「声」を使って人と会話をするのは当たり前のことですよね。

しかし痙攣性発声障害の人たちは、人と普通に会話することはとても難しく、声の詰まりやかすれにより相手に伝わらないことが多いので、


「話す」ということ自体に恐怖を感じます。


また、人と話す時には


「相手に聞こえているかな」 「伝わらなかったらどうしよう」 「初対面の人に変な印象を抱かれないかな」


私の場合だと、言葉を発する前にまずこういう不安を抱えます。


精神負担も大きく、人によってはうつ病になって自分自身を責めて更に状態が悪化したり、最悪の場合自殺するまで追い詰められたりする人もいるようです。


痙攣性発声障害は、年々日本や世界で認知されてきている病気ではありますが、


やはりまだ情報不足な点も多いのが現状です。


私は痙攣性発声障害になって約10年後の今、


甲状軟骨形成術Ⅱ型(チタン手術)


という手術を受けました。


甲状軟骨形成術Ⅱ型とは、喉にある甲状軟骨を切開して声帯を開き、声帯が閉じないようにチタンを入れて隙間を開かせる、というものです。


元々痙攣性発声障害の大きな原因は脳の神経にあると言われていますが、脳の神経を治療することはできません。

そこで「甲状軟骨形成術Ⅱ型」の手術で声帯に隙間を空けることで声帯の異常な動きを緩和して声を出しやすくすることが出来るのです。


現在痙攣性発声障害で悩まれている方の誰かが、参考になればと思い、記事を書きました。


お時間がありましたら是非最後までご覧下さい。



───2020年9月8日(火)───


私は京都府に行き、


ひろしば耳鼻咽喉科


で痙攣性発声障害を治すための、甲状軟骨形成術Ⅱ型を受けました。


ちなみに手術の予約は6月にしていました。



■AM11:00〜


病院来院。現状の声を聞いてもらうために、鼻に黒いホースのようなものを突っ込んで声帯を見ながら発声。


「おはようございます」「こんにちは」「えー」「やぶのなかからうさぎがぴょんとでてきました」


「うん!声震えてるね。でもこの手術を受けたら治るよ。心配しないで」


医師は私の声を聞いてそう言ってくれた。


「ただね、この甲状軟骨形成術Ⅱ型は、デメリットもあるんだ。まずひとつは声がハスキーになっちゃうことがある。もうひとつは大声が出しにくくなる。声の詰まりはなくなるから、結果的には良くなるよ!」



そう、この甲状軟骨形成術はメリットだけではないんですね。

医師の言う通り上記2点は覚悟しなければならないのですが、「声の詰まり」が無くなるのは本当に嬉しいこと。


私はすぐに「大丈夫です!」と、答えました。


■12:00〜


色々な検査や入院手続きのお話を聞いて、看護師さんに入院室へ案内されました。


「ではこちらが手術着になるので、着替えてくださいね〜」


と言われて手術着が渡される。


「あー、これから手術するんだなぁ」と改めて実感。


■13:00〜


諸々あって1時間弱待って入院室で待っていると


「はい!じゃあ行きましょうか!」


来た、いよいよ手術。


───手術室───


ピッピッピッピッピッ……
いかにも医療系ドラマで聞く、あの音が流れている。

手術室に入って一瞬緊張している間に、テキパキと進んでいく。


「はい、じゃあこっちに仰向きで寝てね!」


「好きな音楽ある?手術中流すから好きなの言って〜」


「はい、じゃー布?かけるねー!」


顔に布?のようなものをかけられて、周りが何も見えなくなる。

そして私の左右に医師が2人来て、道具の準備をするカチャカチャという音が聞こえてくる。


「あ…もうやるんだ、切るんだ…」


心臓はバクバクしていた。


甲状軟骨形成術Ⅱ型は全身麻酔ではなく、 局部麻酔にて行われる。


私は痛みがないのかなとすごく不安だった。そう考えていると、


「はーい、じゃあ麻酔打つね!痛いから頑張ってね!」


……あああきた!!麻酔…!!

痛い痛い痛い痛い!!!


耐えられる痛みではあったけど、私はこれが1番痛かった。普通に痛かった。喉に注射はやっぱ痛い。


「はい、じゃあ今喉つまんでるけど、痛いかな?」


って聞かれて


「え?何も触られてる感覚がないけど…?」と思いながら、「何も感じません」と答えた。


「おっけー!じゃあ始めようか」

を合図に手術が始まった。


ツ───ッ……

と刃が伝うような感じがする。


「あ、もうこれ喉メスで開かれてる」

ってすぐに分かった。


ジョキジョキジョキ………

「あー、なんかこれ分かんないけど何かが切られてる…」


手術中、色々な音が聞こえてきたので

その度に「あー今こうされてるんだ」と心の中でずっと思ってた。


そして手術から約30分くらい経った頃、


「はい!じゃあチタン入れたから声出してみて!はい、えー!!!」

え!?声出していいのか!?と思いつつ


「っえーーーー」


と声を出す。


「えっ!?なんだこれ!?声が出るんだけど!?」 「しかも声の詰まりが全くない、なんだこれ!?」


私はこの時とても感動していた。


今まで10年間、毎日満足に声を出せたことがなかった。


声を出す度に「ああ…また声が出ない」と思って心の中ではずっと悲しい気持ちだった。


そして、医師が


「はい、じゃあおはようございますって言ってみて」

「おはようございます!」


「……!!!!!」


声が…出る…声が出る…… この時私は感動して涙がつーって流れた。



同時に「諦めずに生きててよかった」とすら思った瞬間だった。


「2ミリがいい感じだね。3ミリ1回入れてみよっか」


と、医師が言って、チタンを3ミリに変更してまた声の発声練習。


「おはようございます!」

「んー、声出てるけど、結構ハスキーだね。言いづらいでしょ?やっぱり2ミリがいいかもね」


ということで、私はチタンを2ミリにしてもらった。

「前の患者よりも症状酷いのに、2ミリで声がいい感じに出るのはいいね」


と言われた。チタンは2ミリから3.5ミリまで出来るみたいで、1番小さいのが2ミリらしい。

そして、喉にチタンが埋め込まれて糸を縫い、切開した部分も全部縫って塗って


約1時間半後に、甲状軟骨形成術Ⅱ型の手術が終了。




手術後はこんな感じ。

点滴されて、なんか指に機械がはめこまれて、入院室で絶対安静時間突入。


■多分18:00〜


喉が、痛い。すごく痛い。ズキズキする。麻酔が少しずつ切れてきてるのか分からないけど、めっちゃ痛い。
看護師さんに「水を飲んでみて」と何回も時間を分けて言われたけど、18時まで水を1回も飲めず。

水を飲んだらすごい勢いで咳き込んでしまう。


「うーん、水が飲めないとなるとあれだね。ちょっと1回先生にみてもらわないといけないかもね」

と言われる。その数分後


「夕食です」




と運ばれてきたのが、この食事。

「え!?嘘でしょ?竜宮城?」


と、看護師さんを2度見くらいした。

「いやいやこんなの食べれないって…」


と心の中で思っていると、

「ではまた来ますので〜」


と看護師さん立ち去る。

うーんうーん、どうなんだろうと思いながら1口食べてみると、


「あれ、食べれるw」


どうやら固形物はいけるみたい。喉はめっちゃ痛いけど。

すごーくゆっくりだけど、1時間くらいかけて食べました。


ちなみに味噌汁っぽいのは喉越し?が良いので、めちゃくちゃむせました。頑張って飲んだけど。
その後、看護師さんがきて薬を飲むように言われる。

当然今の私に水は飲めない。


「グオッホッ…」


むせながらもとりあえずゴリ押しで薬を飲む。



■20:00〜

喉がめちゃくちゃ痛い。鎮痛剤を点滴で打ってもらっているけど、いや、すごく痛い。

我慢をしながらTwitterのタイムラインを見ながら痛みを忘れようとする。いや、無理。全然無理。


■9月9日 夜中2:00〜

喉の痛みが増してきた。でも我慢しなければ…

痛い…眠れない…これは多分…眠れないんだろうな…


■9月9日 夜中4:00〜

痛くて眠れない…どうしよう…どうしよう…


■9月9日 朝6:00〜

あ、いつの間にか寝ていた…

でも2時間しか眠れなかった…うーん…


そして6時半に看護師さんが来た。


「おはようございます〜。血圧と体温測りましょうね」

「では7時に朝ごはんなので〜また来ますね」


■9月9日 朝7:00〜



朝ごはん来た。
わぁお。すごい…とても病院食とは、思えない。

朝になってからは水が少しずつ飲めるようになってきたので、紅茶もスープも時間はかかるけど飲めるようになっていた。


気を抜いたらやっぱりむせるけど。


喉の痛みは大分治まってきたけどそれでもやはりズキズキと痛みがある…。

野菜ジュースをチューチューしながら、色々考えていた。


「手術終わったんだなぁ…」と。


私は1泊2日のスピード入退院なので、今日で退院。

ご飯を食べ終わったら色々身支度をして、看護師さんが来るのを待つ。


■9月9日 朝9:00〜頃


「準備終わりましたか?では最後に先生の診察を受けてから退院しましょうね〜」

と、手術室へ。


手術をしてくれた医師が待っていて、そこで喉の奥を診てもらったり、最後の声出しをする。


「うん!出血もないし、声も出てるし大丈夫だね。最低でも一旦3日間は完全沈黙してね。 喉の腫れが引くの遅くなるから1ヶ月間はヒソヒソ声や電話もなるべく避けてね」


と言われて診察が終わり、無事に退院。


と、長くなりましたが私はこんな感じで手術を受けました。



今回痙攣性発声障害の甲状軟骨形成術Ⅱ型を受けた病院は「ひろしば耳鼻咽喉科」。


痙攣性発声障害 治療 で検索した時にすぐHPを見つけて、第一印象がとても良かったのでここに決めました。


実際痙攣性発声障害で悩む他の方も、ひろしば耳鼻咽喉科で手術を受けたという方が結構いました。


看護師さんや医師の対応が凄く良く、個人的に痙攣性発声障害の治療としては最高峰の治療をしているのでないかなとも思っています。

私は今回京都府で治療を受けに来ましたが、実際私の地元では痙攣性発声障害という病気の認知度は低いです。


なので、最初地元で診察を受けた時も「うーん…」「発声障害?」とも言われましたし、


私が「痙攣性発声障害ではないでしょうか」と言った時も「どうだろう…」と診断結果に悩み出す医師もいました…


ところが、ひろしば耳鼻咽喉科では、


最初の診察ですぐに「あ、これ痙攣性発声障害だね。うんうん声が震えてるね〜」と言ってくれました。


なので、痙攣性発声障害の可能性がある方は1度是非ひろしば耳鼻咽喉科で診察を受けてみてください。


これからも行うか分かりませんが、ここでは遠方で行けない方のためにオンライン診療も行っています。詳しくは1度お電話や、お電話が難しい人はお問い合わせから聞いてみてください。


私は2020年9月8日に手術を受けたばかりですが、


手術を受けてから「生きる希望」が出ています。



それまでは生きることに本当、絶望していたんだなと思いました。


喋ることが困難な状態が、ここまで精神的に追い詰められるなんて、当時の私は思っていなかったです。


ここまで私が頑張って生きてこれたのは、周りのみんなによる励ましや支えがあったから。

多分一人ぼっちだったら、多分人生も大きく変わっていたと思いますし、手術に踏み込む決断もできなかったでしょう。



今まで私を支えてくださった皆様、応援して下さった皆様、本当に、本当にありがとうございます。

ここまで来れたのは皆様のお陰です。私一人の力ではここまで来ることはできませんでした。私の人生に生きる希望を与えて下さり、ありがとうございます。私は、これからを生きるのがとても楽しみです。


もちろん痙攣性発声障害は100パーセント治るものではないとは思っています。喉の手術を受けたとしても、これから一生付き合っていくでしょう。

まだ手術したばかりなので声も出せないし、自分の声が今後どう変わっていくのかも分かりません。


ただ手術を受けたことで自分自身前よりも明るく、そして希望を持てた、それは断言します。

同じ痙攣性発声障害を患っている人には、適切な治療を受けて欲しい、実体験を見てほしいと思い、今回書きました。


痙攣性発声障害で悩まれている方、是非お時間ありましたら、気になりましたらご覧になってみてください。



痙攣性発声障害で悩まれる方が、少しでも笑顔を取り戻せて日常生活が快適に過ごせますように…そう願っています。

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